ハチワレの魅力に注目する話(第2話「スフィンクス/ほんものだ」のレビュー)
ハチワレが「スフィンクスは猫の座り方のポーズをとっている」とちいかわに主張したくて、興奮気味な様子からの、舌をペロッと出したリラックススタイルで座ります。その姿に見とれて脳裏に焼き付けたくなる可愛さです。
次の話で、砂漠でも近くにピラミッドがあるわけでもないのに、なぜか草原にスフィンクスがいます。「なんでいるの?」と疑問に思いましたが、ちいかわの世界は「でかつよ」「魔女」「あくむのゾウ」といったモンスターたちがうじゃうじゃいるので、「スフィンクスくらいいてもおかしくないか」とすぐに納得しました。
ハチワレはスフィンクスのそばで大声で呼びかけ、立ち上がったスフィンクスから満面の笑みで逃げて、ちいかわと追いかけられます。
無害か否かもわからない巨大な生物にちょっかいをかけ、笑って逃げる。無邪気で可愛いらしいのですが、「あの弱肉強食な世界で警戒心の薄さは命とりなのでは?」とも思いました。
そんな危なっかしさもありますが、ハチワレは後々になって討伐の仕事の厳しさや生きるうえでぶち当たった困難の苦さを知り、ラッコ先生の弟子になって討伐の成功体験を積み重ねていきます。ハチワレが戦士へと成長してゆく前の、危険を知らない子供だったゆえの危うい無垢さを味わう一作でした。