終末トレインどこへいく?

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終末トレインどこへいく?
9

文字通り、結末はどこへ向かうか気になる。

ポイズンポン太郎が中心となって開発された、最新の通信技術である7G。阿賀野出身の女子高生の葉香は池袋駅の改札を通っただけなのに、77777人目の改札利用者という理由でその開通式典に強制参加させられ、ポン太郎からの圧力で開通ボタンを押した。その瞬間世界の形は大きく歪み、混沌に染まってしまう。ポン太郎のせいで世界を壊した張本人にされた葉香がすごく可哀想だった。

それから2年後、葉香の友人の静留、撫子、晶、玲美は、撫子が購入した植木鉢の梱包材の池袋発行の新聞から失踪した葉香が写っている写真を発見し、それをモルモットになった葉香の祖母に見せに行った(7G事件が原因で阿賀野では大人が動物になる異変が発生した)。
新聞の写真を見ると、葉香の祖母は静かに黒くつぶらな瞳から涙を流した。

それから数日後、葉香を探しに池袋へと旅に出る静留の決意を聞いた静留の母(レッサーパンダ)は、娘の覚悟を穏やかに承諾。なぜか時間制限で若返る体質である老人の善治郎から2000系の電車の運転を教わり、勢いでついてきた撫子、晶、玲美と犬のポチさんと共に池袋へ旅立つのであった。
一瞬だけだったが、葉香の祖母が善治郎の隣で手を振って見送りに来ていたのが見えて、子供たちと孫の無事を祈る姿に目頭が熱くなった。

人間と違って表情が明確でない動物の肉体。そのなかで葉香の祖母と静留の母が、大人が子供を思う「愛情」という人間の心と母性がまだ残っている言動の表現が、大切な子供が自分の傍にいない、いなくなる切なさを強く感じさせる。
未だに頭の中に残る心情の描写力の高さと、ストーリーを追い続けないと解明できない謎(葉香は何のために池袋へ行ったのか。7Gの何がどう作用したせいで世界が壊れたのか。葉香と再会した後で何か変わるのか)が組み合わさり、最終回まで見届けたい気持ちを見る者に湧き上がらせる。