「L'Arc~en~Ciel」のボーカルが魅せる、ラルクとは全く違う独特な「静」と「動」の世界
「hyde」が「L'Arc~en~Ciel」のボーカルということはあまりにも有名だが、意外と彼のソロの曲を聞いたことがある人は少ないのではないだろうか。
彼は「ラルクは大きな船。動かすには何人もの仲間が必要で、動き出すのも時間がかかる。ソロはその点身軽で、自分で決めないといけない部分が多いがサッと動ける」とインタビューで話していたことがある。
彼がソロを始めた理由は「自分だけの世界観でアルバムを作ってみたい」からであった。今となってはラルクは全員がソロ活動を行っているが、言い出しっぺはhydeだった。ラルクだと、どうしても他のメンバーの世界が入る。その点ソロは自分だけの理想を追うことができる。何年も構想し、作り上げた彼の作品がファーストアルバム『ROENTGEN』である。
『ROENTGEN』は「静」のアルバムで、hydeは「このクオリティのものは次は10年以上経たないと作れない」と言った。
2022年でソロデュー20年を迎えたが、この「静」の世界観のアルバムはリリースされていないままだ。しかしこの世界観を大切にするhydeは、20年経ったにも関わらずこのアルバムのツアーを敢行している。よっぽど思い入れがあるのだろう。
その後、彼のソロ活動は「動」の世界へ入る。ハードなロックミュージックの世界である。ライブハウスで演奏されることを想定し、ヘドバン・モッシュ・ダイブまで巻き起こす曲調の激しさは、ラルクと比べても圧倒的に激しすぎる世界観だ。あまりに大きなこの振り幅も、彼のソロ活動の魅力である。それはやがて「VAMPS」というユニットに繋がっていく。
VAMPSが動いていた時は一旦活動を停止したhydeは、VAMPS停止後にまた動き出す。その動き出しも『ANTI』という「動」の世界観のアルバムだった。
パンデミックが起こっても彼の活動は止まらず、「静」と「動」を使い分けながら音楽を鳴らすことをやめなかった。その姿はやがて後輩ミュージシャンにも大きな影響を与え、出身地である和歌山県にhydeの電車を走らせるまでに至ったのである。