おひとり様物語

shintarou7のレビュー・評価・感想

おひとり様物語
9

心交わす瞬間のいとしさ

既刊10巻、谷川史子さんの漫画「おひとり様物語」は、様々な「おひとり様」の女性が語り手となって進むオムニバスの物語。
彼氏がずっといない「おひとり様」もいれば、想い人とすれ違ってしまった「おひとり様」もいる。それぞれの女性の人生の機微を少女漫画雑誌「りぼん」で有名になった恋愛物語の名手、谷川史子さんが描く。
私はたまたま今パートナーがいるけれど、「おひとり様」だったらどんな生活を送っていたんだろう。ひとりでも谷川さんが描くような、恋をしたり、過去の思い出とひょんなことから向き合ったりする瞬間はあったんだろうか。そんなことをしみじみと感じさせくれる作品。
「おひとり様」というタイトルから淋しい女性の話だと思ったら大間違い。
ひとりでも、誰かとこうやって心触れ合う瞬間やときめく出会いの瞬間ってある。ひとりでいるからこそ、他者と心交わす瞬間が、他者と交わって孤独を癒す瞬間が、誰かのために何かしたいと思う瞬間が愛しく輝いているのかもしれない。
パートナーという形じゃなくても、人とかかわるのは素敵だ。
いろんな主人公の中に、あなたと似た人がいるかもしれない。
今、おひとり様の方もそうじゃない方もぜひ読んでほしい。