コウノドリ / Kounodori: Dr. Stork

コウノドリ / Kounodori: Dr. Stork

『コウノドリ』は鈴ノ木ユウによる漫画作品。全32巻。2012年に講談社「モーニング」にて短期連載。翌2013年、同誌12号から週刊連載となり、2020年23号まで連載された。青年誌では異色の産婦人科医療を描いた作品である。2016年には同作品で第40回講談社漫画賞一般部門を受賞した。
男性産科医、鴻鳥(こうのとり)サクラが、出産とそれにまつわる様々なトラブルに出会い、当事者たちの不安や悩みに寄り添い、幸せになるための手助けをしていく人間模様を描く。
妊娠・出産にはさまざまなリスクや危険があること。元気に無事に赤ちゃんが生まれてくることは奇跡の連続であること。そして「命」の現場ではさまざまな葛藤があること。出産の身体的リスク、人の命を奪う中絶という行為とその意義、子供が産まれることによる幸せ、親の喜びなど、様々な角度から命の大切さ、家族の絆を問いかけている。
TBSの2015年10月期の金曜ドラマ枠で、ドラマ化され、鴻鳥(こうのとり)サクラ役を綾野剛が演じた。原作の世界観を忠実に再現し、かつ実際の病院で取材したことによるリアルな描写が好評を博し、多くの共感と感動を生み、同局にて2017年10月期の金曜ドラマ枠で、続編が放送された。

渡邊遼平のレビュー・評価・感想

コウノドリ / Kounodori: Dr. Stork
10

どんな人にも読んでもらいたい作品

『コウノドリ』は産科の医療現場を取り上げた作品である。
妊娠・出産と聞くと幸せなイメージを連想するが、全てが幸せとは言えないことをこの作品が物語っている。早産の末に赤ちゃんが死亡してしまった、胎内で死亡してしまった等、読むのも辛い悲しい結末を迎える話もある。他にも孤独な育児により産後鬱で子供を殺害、または母親が自殺してしまう等、誰もがニュースで1度は目にしたことがあるであろう話もある。
ただ楽しめるだけではなく、妊娠・出産中に誰もが起こりうる出来事や問題視されていることを作品を通して学ぶことが出来る所が魅力だ。
もちろん暗い話だけではなく、切迫早産や妊娠高血圧症候群等の病気を乗り越えて無事に元気な赤ちゃんが産まれるというハッピーエンドの話もたくさんある。新しい命が無事に誕生することがどれだけ奇跡的なことなのか痛感する場面が盛りだくさんである。
妊娠中の女性やその家族が読むと不安を煽る場面もあるかもしれないが、知っているのと知らないのとでは心構えが変わってくるかもしれない。子供を望んでいる夫婦や現在妊娠中の女性はもちろん、将来子供が欲しいと思っている若者や周囲に妊婦がいる社会人等色々な方に読んでもらいたい。