美麗イラストで、色々な妖怪小話
虚構推理は、原作が城平京先生、作画が片瀬茶柴先生の漫画です。
物語の主人公の岩永琴子は、妖怪やあやかし、所謂化け物と呼ばれるものたちと契約して、化け物たちの知恵の神になった過去を持ちます。
化け物たちの中には知恵の少ないものが多く、彼らは知恵をかしてくれる神を欲していたのです。
彼女は、その契約によって、半分神、半分人の中間に位置する存在になりました。
それで、彼女はことあるごとに知恵を求められます。
彼女は日本中津々浦々旅して、化け物たちの相談を解決していく日々をすごすわけです。
この漫画は、そんな彼女が色々な問題を解決をしていく話をあつめたものとなっています。
漫画物語全体としての、悲願や目的というものも一応存在はするのですが、それほど急ぎではないものとして位置づけられており、読者は比較的ゆるい気持ちで話を追うことができます。
水戸黄門や、どらえもんのようなものをイメージしていただけたらいいかと思います。
半分神であるという設定や、妖怪という設定がうまく生きて、色々な話が展開されます。
全体として、極端な見せ場があるような漫画ではないのですが、両作者の引き出しが広いので、読者はいろいろな画面を見て楽しむことができます。
特に作画担当の片瀬茶柴のイラストは、連載漫画としては最高クラスの美しさだと思います。
各地を旅することが多い主人公の姿を、美しいイラストで見れるので、旅行記をみているような面白さもあります。
ストーリーとしての面白さだけではなく、美術作品のような面白さを感じることができる作品です。
読み終えると、なんだか満足している、良質な小説を読んだ後のような気分にさせてくれる漫画です。