湯を沸かすほどの熱い愛

湯を沸かすほどの熱い愛

『湯を沸かすほどの熱い愛』とは、2016年に公開された日本映画。「幸の湯」という銭湯を営む幸野家。しかし1年前に父が家を出て行ってしまい銭湯は休業状態。母の双葉はパートをしながら懸命に娘を育てていたが、ある日余命宣告を受ける。双葉はその日から、「絶対にやっておくべきこと」を決め実行して行くが、それは家族の秘密を取り払うことでもあった。関わるすべての人の心を突き動かす強さと優しさを持つ主人公・双葉を宮沢りえが演じ、失踪した夫・一浩をオダギリジョーが演じる。第40回日本アカデミー賞受賞作品である。

時雨のレビュー・評価・感想

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湯を沸かすほどの熱い愛
10

最高に美しい物語り

宮沢りえが主演の映画です。
娘に杉咲花、ダメなお父ちゃんをオダギリジョーと連れ子は、伊東蒼ちゃんです。
主人公・双葉(宮沢りえ)は、パート先で倒れ、余命三ヶ月と宣告されます。潰れた銭湯の浴槽の中で泣くシーンは、双葉の苦悩が伝わり切なくなります。そして、潰れた銭湯を再開すること、蒸発した夫一浩(オダギリジョー)を連れ戻すこと、優しく弱い安澄(杉咲花)を強くすること、安澄をある人に会わせることを決意します。
夫を連れ戻し、一浩は鮎子(伊東蒼)を連れて帰って来ます。鮎子の母親は、鮎子を残し蒸発しています。安澄は、学校でいじめにあっていますが、戦うことを教えます。安澄が「学校に行きたくない」と、布団から出ないのを双葉が無理矢理起こすシーンがあるのですが、宮沢りえと杉咲花の演技が光る、好きな場面です。
好きな場面と言えば、鮎子が迎えにくると言った母親を待つために、アパートまで戻り、雨の中独りでいるところを双葉と安澄が迎えに行くところです。翌朝のしゃぶしゃぶを食べる中、鮎子が「ここにいてもいいですか?」と、泣くシーンは、伊東蒼の演技に泣けます。
母親と娘の物語りです。安澄のと母親の関係、鮎子と母親の関係、双葉と母親の関係、その中でヒマワリのように明るく、銭湯の湯のように熱い双葉が注ぐ愛情と、宮沢りえの鬼気迫る演技が心を奪います。