ドライヴ

ドライヴ

『ドライヴ』(Drive)とは、ジェイムズ・サリスによる2005年の小説、およびそれを原作として2011年に公開されたアメリカ映画である。監督を務めたニコラス・ウィンディング・レフンの名を日本に広く知らしめた作品であり、本作のヒットを契機にレフンの過去作が相次いで劇場公開やソフト化されるなど、大きな反響を呼んだ。卓越した映像美やスタイリッシュな演出が高く評価され、第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したほか、ニューヨーク映画批評家協会賞やシカゴ映画批評家協会賞をはじめとする数々の映画賞でアルバート・ブルックスが助演男優賞を獲得するなど、国内外で非常に高い評価を得た。
ロサンゼルスに暮らす孤独な主人公(ドライバー)は、昼は自動車整備工のメカニックや映画のスタントドライバーとして働き、夜は卓越したドライビングテクニックを駆使して強盗の逃走を手助けする「逃がし屋」という2つの顔を持っていた。ある日、アパートの同じ階に住むアイリーンとその息子ベニッシオと出会い、彼らと交流を深めるうちに親密な関係を築いていく。しかし、刑務所から出所してきたアイリーンの夫スタンダードが、服役中の金銭トラブルから街のチンピラに脅され、質屋を襲撃する計画に加担させられていることを知る。アイリーンたちの身を案じたドライバーは自ら逃走役を買って出るが、強盗決行当日、スタンダードは店主から撃たれて死亡し、計画は当初からドライバーたちを裏切る目的で仕組まれたものであることが判明する。奪った大金を手に逃げ延びたドライバーは、背後に潜む裏社会の権力者たちの陰謀へと巻き込まれていく。

tomo-mのレビュー・評価・感想

ドライヴ
7

寡黙な天才ドライバーが抱く隣人への愛が物語を思わぬ展開へ導く

ライアン・ゴズリング主演のクライム・サスペンス映画。主人公は、カースタントマン兼・自動車修理工で、巧みな自動車運転スキルを持つ寡黙な好青年。しかし実は、車で強盗犯を警察や追っ手から撒く「逃し屋」という裏の一面も持つ。そんな中、隣人の母と子へ愛情を抱いていく。ある日、無償の愛をもって彼ら家族を守るため、強盗犯罪の逃し屋を請け負うことを決意。ところが、任務は思わぬアクシデントに巻き込まれ、予想だにしない展開へと進む。

劇中のカーチェイスは、荒々しくも冷酷かつ淡々と繰り広げられる。「銃は持たない 運転だけだ」セリフの通り、主人公は運転ひとつで依頼者を運びきり、任務を完遂していく。手に汗握る展開の中、冷静に研ぎ澄まされた運転で追っ手を見事に撒く主人公の職人ぶりは、観る人を圧倒する。
しかし、そんな主人公も結局は強盗犯罪に加担した1人にすぎない。泥沼化した強盗事件は、連鎖する殺人劇へと悪化し、主人公も容赦なく巻き込まれていく。殺すか、殺されるか。名前なき主人公は確かな覚悟を持っており、大切な人のために最後まで自分のやるべきことを貫く。物語の展開の激しさの中に映る主人公の静かさが絶妙に見栄えする作品だ。