私は貝になりたい

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私は貝になりたい
10

私は貝になりたいと思う気持ち

終戦から77年。日本は原爆を落とされた唯一の国。初めてしまった戦いに、大きく痛すぎる代償を払うことになりました。
この映画は、第二次世界大戦の時のお話で、1950年代に映画化され、ドラマにもなっていました。私が「一度は見るべき・知るべき真実」として見てほしいのは、その後元スマップの中居くんと女優の仲間由紀恵さんでリメイクされた映画です。
今まで夫婦で理容室をやっていた、普通の人だったのに「赤紙」が届いてしまうところから物語が始まります。
届いたら最後、絶対に行かなくてはいけません。そして、戦場で上官の命令に逆らうことができずに、敵国の捕虜を殺してしまうのです。戦後そのことが戦犯となり、死刑になってしまいます。その死刑になるまでの様子が物語になっているのです。
主人公の中居くんの素朴な演技力と、奥さん役の仲間由紀恵さんの真面目で健気な雰囲気と、流れる音楽と自然の景色が重なって、切なさ、自分の力の無力感、そして死刑を反対する運動を1人で起こす奥さんの気持ちに、見ていて喉の奥がギュッと苦しくなるのです。きっと、こんな風に納得の行かない死を迎えた人が沢山いたのでしょう。
どの人にも、映画の主人公になるようなこれからの未来があったのに。

ずっと前に、祖母と知覧特攻平和会館に行きました。
元特攻隊だった方のお話を聞くことができました。その方は仲間と飛び立つ日に飛行機のトラブルで出発出来ず仲間たちは亡くなり、その後すぐに、終戦となり自分だけが生き残ってしまったそうです。何十年も経っても「生き残ってしまった」という気持ちが残っている事に「誰もねたんだり、ひがんだりしていないと思いますよ。十分に苦しんでいる姿を皆さん見ていると思いますよ」と生意気にも言ってあげたかったくらい。祖母と2人、涙が止まりませんでした。「生きて帰ってきて良かった。良かった」ではないなんて…戦争が終わってからもこんなにも長い間苦しんでいる方がいたなんて。

戦争の映画は沢山あります。色々な立場の目線からの作品があり、「同じ時の戦争」なのに、どれも切なく苦しいものばかり。沢山の犠牲を払って得たものは何?
「貝になりたい」のラストはとても衝撃的でした…私はもう見たくない、見られません。

今、私達が生きているという事は、悲惨な時代を生き抜いて来てくれた方々がいてくれたおかげです。だからこそ、何があっても負けないで1日1日を大事に生きていかなければならないと強く思うのです。そして、生まれ変わったら「深い海の底にしずむ貝になりたい」なんて思わない人生を思いっ切り生きて欲しいと思い、戦争のない世界が来る事を願うばかりです。