アキラとあきら

rurukun0669m2のレビュー・評価・感想

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アキラとあきら
10

池井戸潤さん好きであればぜひ

半沢直樹シリーズでも有名な池井戸潤さんの原作の映画です。半沢直樹でも合併前のメインバンクとして出てきた産業中央銀行を中心に物語が進んでいきます。幼少期に竹内涼真さん演じる山崎瑛(あきら)の父は従業員5人の小さな町工場、山崎プレス工業を営んでいます。小さな部品がとても貴重な発明で、大事な存在だと従業員に教わります。出だしは経営悪化、銀行からの融資が止められ会社が倒産という流れで池井戸さんの中でよくある光景です。もう一人の存在として幼少期から大企業の御曹司として生まれ、親の敷かれたレールを継ぐことを確約されていた男の子、横浜流星さん演じる階堂彬(アキラ)が登場します。二人は偶然にも子供時期に出会い、ちょっとしたイベントが発生します。その後、成人して二人は同期入社として産業中央銀行へ入行。二人は新人ながらある伝説を作ります。
あきらは熱血漢があり血が通ったバンカーとして様々な企業にアプローチして信頼を得ていきます。一方もう一人のアキラはクールに物事を考えて感情に流されず、どちらかというと効率と損得に重きを置いて仕事をするタイプです。物語の中には、銀行ならではの左遷や大企業の御曹司という立場での人間関係のとても辛いしがらみという内容も含まれています。その二人が逆境に向かってどのように立ち向かっていくかが見どころの一つであり、半沢直樹のような迫力ある倍返しという雰囲気ではないと個人的には感じたのですが、この作品は、静かな空気間の中にも熱さがあって、そしてよりリアルさを追求したものだと見ていて受け取りました。
人間の弱さや様々な世の中の理不尽に対する葛藤など非常に上手く表現されています。主人公以外の役を演じられた俳優の方々も違和感がなく、私は映画を見ながら印象的な場面や言葉、その時の表情など何度も巻き戻しては繰り返し見てしまいました。自分を重ね合わせてこの状況ならどう心の中を整理するかなど自分なりの解釈を楽しみました。見終わった後はとても爽快な気持ちになり、諦めない大切さを学びました。映画のように上手くいかない事の方が多いとは思いますが、何回でも見たくなる作品でした。