二年間の休暇
レビュータイトルは、このアニメの最終話のタイトルでもありこれはジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』の原題でもある。あらすじは中学三年生の夏休み中、たまたま登校中だった36名の生徒たちが正体不明の世界へ漂着するというものである。どっかで見たか聞いたかしたようなストーリーだ。しかし、いうところの『異世界もの』とは趣を異にする。それへのパロディ的な意味での能力付加イベントはあるにはあるが、いわゆる獣人娘やエルフ少女とのハーレム生活もなければ異世界人相手のマヨネーズやらライターやら使ったマウントもない。というより、異世界人自体存在しない(野球をやる猿はいるが)。「じゃあそれの何が楽しんだよ、俺ツエーやら僕またなんかやっちゃいましたか的展開を楽しめねーなら意味ねーじゃん」というそこのアナタは、悪いことは申さぬ、これ以上この駄文を読むのはやめにして、某な〇うでも楽しまれまれい。
…まだ読んでいるな?よろしい、アナタはこのアニメを楽しめる種類の御仁とみた。『Sonny Boy』は舞台こそ異世界に移しているが、まぎれもないリアルな青春の物語だ。いやむしろ現実の背景をそぎ落とすことで登場人物たちの葛藤や苦悩を浮き彫りにするという構造をもっている。この作品に触れたものは自らが思春期に胸をかすめた何かを見出すだろう。主題歌兼エンディングテーマである銀杏BOYZの『少年少女』が歌っているいるそのままに。見終えたのち(あるいは見届けたのち)、もういちど彼らに会いたい、とアナタは思えるだろうか。