銀河鉄道の父

tktrykk6のレビュー・評価・感想

銀河鉄道の父
5

宮沢賢治の一生に切り込む作品

「銀河鉄道の夜」という童話を書いた作家、宮沢賢治の父を主役にした長編小説・映画です。史実では宮沢賢治は実家の家業である質屋のこと、信仰している宗派のこと、賢治自身の活動のことなどで何かと父親とは衝突が多く、不仲になっていたそうですが、病気で亡くなる数日前にようやく和解し、ついに褒められたといわれています。そのような賢治の一生を父親の視点から見たという点で、この映画は新しい切り口を見せてくれます。賢治のやっていることに自分の考えから反対をして、なにかと衝突していましたが、その内心は賢治のことを認めようとしていたり、賢治の奇行を周囲の人が止めようとするのをそっとしておいたり、賢治の書いた作品の売れ行きを本屋に聞いて自分が買おうとしたりと、賢治の行動を密かに応援しようとしており、父親の内心の複雑さが出ていました。
もっとも映画を見ていて、どうもわざとらしくやろうとしている部分が少なくなく、無理矢理にでもねじ込もうとしているところもあって、あまり自然な感じがしなかったのが欠点といえるかもしれません。とはいえ、宮沢賢治のことを良く知りたい、違う視点から見てみたいという人は一度見てみることをおすすめします。原作小説もあるので、映画を見ることができないならそちらをおすすめします。