ワン チャンス / One Chance

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ワン チャンス / One Chance
9

千載一遇をものにした男

この映画は、ポール・ポッツという実在の歌手をモデルにして撮影されている。
彼は、映画公開前、オーディション番組等で大活躍していたそう。
彼の名で検索してみれば、今でもその人気のほどが窺い知れる。

しかし、丸ごと彼の自伝になっているかというと、そこはやはり脚本家の腕の見せ所というか、紆余曲折ある中でも、起承転結で再整理・再構築してある。

実際の彼は、「携帯ショップ店員をしながら苦節何年」という作中の彼とは違う。

優れた成績で大学を出て、市議会議員を経験していたり、この映画の山場としてのオーディション前にも留学をしており、その資金は別のオーディションで獲得していたそうな。

つまりかなり多芸であって、歌手を天職と心に決めているがゆえに「苦節何年」ということになってしまうだけで、他のルートを選んでいたら、その道のプロと成り得た道がいくつもあった人なのであった。

それをそのまま自伝映画化するのだと、変に勘ぐられたり嫉妬の的になってしまって、映画になりづらいおそれもある。

なので、メインイベントと思われるもので再構成してあることになるが、だとしても、総じて、妥協した道のうえでそこそこの戦績を残して終わりというのではなく、天職に向けて挑み続けるのがすごいし、実際にチャンスをものにしてみせるのだから勇気づけられる。

音楽系の夢を追う人には特にオススメであるが、そうでな人にも大変オススメ。