幼女戦記 / Saga of Tanya the Evil

幼女戦記 / Saga of Tanya the Evil

幼女戦記(ようじょせんき)とは、カルロ・ゼンによるライトノベル・オンライン小説および株式会社NUT制作のアニメーション作品。
第一次、第二次世界大戦中のヨーロッパの情勢によく似た、魔法と科学が息づく異世界が舞台となっている。この世界に日本人のサラリーマンとして生きていたある男が「幼女」として「帝国」と呼ばれる国に転生し、「帝国」の魔導士として「協商連合」や「連邦」などの敵と戦っていく。

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幼女戦記 / Saga of Tanya the Evil
10

幼女の皮をかぶった化物

「幼女戦記」は、2017年に放送された戦争を題材にしたファンタジーアニメ作品であり、原作は同名のライトノベルです。本作品は、異世界に転生した少女ターニャが、軍人として活躍しながら戦争を繰り広げる様子を描いています。
本作品の最大の特徴は2つあります。
1つ目は、主人公であるターニャが幼女であることです。ターニャは、元は現代日本のエリートサラリーマンであり、死後異世界に生まれ変わったという設定です。戦争に身を投じ、その可愛い容姿とは裏腹に、シカゴ学派の経済理論と順法精神を愛しています。そのため保身を優先的に考えて、最前線から後方で働くために行動するのですが、いつも裏目に出てしまうといった内容です。
2つ目は、第二次世界大戦のドイツとよく似た政治状況です。そのため本作品は戦争を主題としており、リアルな戦闘シーンや作戦の立案など、軍事的な描写が豊富に描かれています。それに伴い、作品中で描かれる戦争や、政治的な状況の説明も非常に丁寧です。過去実際に行われた作戦やロジックが多く出てくることで、この作品のリアリティを上げている点が、より一層深く作品の世界に没入することができます。
この2つの点から、主人公は自分が所属している国の行く末を知っているため絶望してしまうが、その中でも戦争に勝つためにもがき苦しむ。戦場の状況、政治的判断、軍部上層部の勘違い、これは主人公と読者だけが知っている歴史で、その絶望を共有することができるのです。