ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(じゅらしっく・わーるど/あらたなるしはいしゃ)とは、『ジュラシック・ワールドシリーズ』の第3作目で、『ジュラシック・パークシリーズ』の6作目。2022年に公開され、『ジュラシック・パーク』のシリーズで完結作品となっている。この完結作品では、『ジュラシック・パークシリーズ』の主人公だったアランとエリー、イアンが登場し、過去シリーズの主人公たちが集結するまさに完結作品としてふさわしい映画になっている。
恐竜がアメリカ本土にやってきて、恐竜の人間が共存して生き始めて四年の月日が経過した現代が舞台。クローンであるメイジーを狙うバイオシン社が、世界を自分たちのものにしようと計画し、メイジーを誘拐。オーウェンとクレアは、仲間を通してバイオシン社の運営している恐竜保護施設に乗り込む。また、別件でバイオシン社の計画に気づいたアランとエリー、イアンも恐竜保護施設にいた。バイオシン社の計画を止めるべく、これまでの主人公たちが出会い、協力する姿は『ジュラシックシリーズ』のファンにはたまらない作品になっている。

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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
5

広がりすぎた世界観

今までのシリーズでは、ジュラシックパーク内・恐竜が居着いてしまった島・新たなパーク・洋館で開かれるオークションなどと、舞台が限定されており、話も比較的にまとまっていたように感じている。
しかし、今回の映画では恐竜が解き放たれた世界中を舞台にしたものになった。
舞台が広がったことで、話のスケールも非常に大きくなり、2時間程度の映画では話をコントロールしきれなかった印象である。
序盤に、恐竜がもたらす被害についての報道をたくさん見ることができる。また、恐竜の違法捕獲などの問題提起もされていた。
これらの問題を片付ける映画だと思っていたら、話の中心はイナゴ。恐竜は世界に放たれたままで、恐竜にまつわる悪徳ビジネスをしていた会社が一社つぶれただけという結果に。普通に考えると、また新しく悪いやつらが出てくれば、同じことの繰り返しになってしまうだろう。
また、一部設定が無視されているように感じた。最初のパークでは、恐竜が管理できる範囲を超えて繁殖しないよう、メスの恐竜のみ存在していた。シリーズが進むと、パークが無人島化。それに併せて恐竜が謎の進化を遂げたのか、オスの恐竜が誕生していた。
一方この映画では、恐竜にはメスしかいない設定が無視され、どこかでオスの恐竜が誕生していたこともなかったことになっている。最終的に単体での妊娠に成功したメイジーの母親とブルーが狙われるという結果になっていた。ここにどうも矛盾を感じてしまう。
こういった点から、全体的に雑さを感じてしまった。世界観が広がりすぎたために、無理やりにでも終わらせにかかった印象。
一方で、過去キャストの使い方が非常に上手であったと思う。元主人公が全員そろった結果、他のキャストが霞んでしまったり、下手な見せ場が増やされたりすることを懸念していたが、全員がバランスよく見せ場があり、かといって出しゃばりすぎることもなかった。過去・今の主人公がそろったシーンでは、誰も死なないであろうと安心して鑑賞することもできた。

『ジュラシック・パーク』、『ワールド』シリーズを観てきた人は、つっこみどころがありながらもそれなりに楽しく鑑賞できるとは思う。一方で、過去のキャストや前作がないとすっきり分からないシーンもあるため、ジュラシックシリーズを観たことがない人は、ワールドからでも先に見た方がいい。