強さとは。
永野芽衣主演、タナダユキ監督の、同名漫画を映画化した『マイ・ブロークン・マリコ』。
親友がとある理由で自殺した。それを知った主人公は悲しみや喪失よりも怒りが増し、親友の実父から遺骨を取り上げ、彼女が生前行きたがっていた海へと向かった。
道中思い出すのは親友との日々。幼い頃から父親から暴力を受け、更に辛い思いをした親友は大人になってからどんどんと自尊心が低くなっていく。それくらいの経験をしてきた人生だった。それに相反して人に優しい。ただその中には相手に対して依存性が強かったり、幼少期からの経験からか「全て自分が悪い」と考えてしまう、少し歪んだ優しさを持つ人間のように主人公は感じていた。
彼女は悪くない。悪いのは彼女の人生だ。かたや主人公はそんな親友の様々な出来事を自分のことのように怒りを感じ強く優しく守ってきた。けれども最終的に親友の人生は終わり、そのことに対しても主人公は強く優しく親友を守る。最終的に思わぬ出来事で遺骨は海に撒かれる。
道中出会う人たちから少しずつ、主人公がこれから親友に対してどう思いどう生きていくかを見つけるようになる。結局は自分が生きて親友を心の中で思うしかない。生きている人間はそうやって生きていくしかない。
主人公の持つ強さとは、聡明な揺るぎのない優しさとしか見えなかった。ただ、親友を守ることで自分を強くしていたようにも感じる。ここからは映画には描かれていない。主人公のこの先の人生はどうなるのか。強く優しく親友を思い続けるのか。主人公の幸せは何か。タバコを吸い、ドクターマーチンを履き、お昼休みは一人でラーメンを食べる。口も悪い。そんな武器を持ちつつしっかりブラック企業ではあるが勤めしっかり生活している。主人公の幸せを1番に願うのは永遠に親友であるようにと強く願う。少し歪んだ優しさを持つ親友が主人公のこの先の人生を聡明で優しく強く守っていくことを願う。