人のセックスを笑うな

人のセックスを笑うな

『人のセックスを笑うな』とは、山崎ナオコーラの小説。過激な題名とは裏腹に純粋な恋愛ドラマで、19歳の男と39歳の女、年の離れた男女の恋愛模様を描く。作者は今作で小説家デビューした。2004年の第41回文藝賞を受賞し、翌年の第132回芥田川龍之介賞の候補作にも選ばれた。2008年には監督・井口奈己監督、主演・松山ケンイチ、永作博美で映画化されている。

shantivegetableのレビュー・評価・感想

人のセックスを笑うな
9

映画のもう一つの見所はファッション!

映画公開時から既に10年以上たっているが、未だに色あせない魅力で多くの根強いファンを持つ作品。
物語は自由で奔放なユリ(永作博美)と、そのユリに振り回されるみるめ(松山ケンイチ)との20歳もの年の差恋愛である。歳を全くと言って感じさせない永作博美の魅力なしでは成立しないこの映画、いつの間に観る者はみるめと一緒にユリに恋をしてしまう。もちろん永作博美の元々の魅力も大きいが、ユリを最大限に魅力的に見せているのにはファッションの力も大いに貢献していると思う。調べるとスタイリングを有名なスタイリストの方がされていたと聞いて納得である。
映画の中には自宅に戻ったユリが煙草を吸いながらどんどん着ている服を脱いでいく印象的なシーンがある。そのシーンで描かれているのは色っぽい雰囲気ではなくユリの日常であり、ユリの人柄である。このシーンでユリは黒タイツの上に白パンツという若干斬新な下着姿を披露している。普通はパンツの上にタイツであるがユリは逆である。しかしこのヘンテコな下着姿にユリの個性的なチャーミングさが詰まっているように感じる。どこまでもオリジナル性のある女、それがユリなのである。そしてそのオリジナル性は少女のような魅力でもある。年上、それもかなり年上の女なのに少女のようにチャーミング、このギャップが観る者を離さない。ユリのファッションはこの下着姿を除いては年相応なシンプルなおしゃれであるのがまたこのシーンの下着姿を印象的にしている。このギャップ、女性は使わない手はないなと思うのである。