とんび(映画)

madarachanのレビュー・評価・感想

とんび(映画)
7

母を亡くした不器用な親子と街の仲間との人情映画

高度経済成長期の広島が舞台です。
運送会社で働く安男(阿部寛)と息子の旭(高校生からは北村匠海)の半生を描いた映画です。

安男と美佐子(麻生久美子)の間に旭が産まれるところから物語が始まります。
幸せな生活を送っていたのですが、あっという間に終わりを告げます。
旭が物心つく前に安男と旭の目の前で美佐子が事故で亡くなり、安男は一人で旭を育てる事になるのです。

安男は子供を一人で育てられるようなしっかりものでは無く、すぐに怒って手が付けられず、育児が不安で弱気になったり、お酒に逃げたりする状態です。
そんな安男と旭の事を寺の住職や友人は励まし、助け、旭は立派に育ちます。

一番の見所は安男や旭に関わる人々の人情であったり、安男と旭の想いが溢れ出るシーンです。
お互いに不器用かつ素直じゃないので言い方が悪かったり辛く当たってしまい、親子関係は一見あまり良くないです。
でも本当は大切に思っていて、心配しています。そんなシーンが随所にあります。
自分の親の事や子の事を想うと、きっと共感できる場面がある映画です。
昭和の町並みが素敵に再現されているので、昔の雰囲気が好きな方にもおすすめです。

本作は重松清の小説が原作であり、ドラマ版もあります。俳優も違うので気になる方はお好みで楽しんでいただければと思います。