あだち充らしさが詰まった名作!野球と恋愛が交錯する漫画「H2」
「H2」は「タッチ」などで知られるあだち充原作で、週刊少年サンデー(小学館)で連載されていた青春野球漫画である。
コミックスは全34巻、ワイド版全17巻、文庫版全20巻となっている。
中学時代に野球の才能を発揮していた主人公で投手の、国見比呂(くにみひろ)と捕手の野田敦(のだあつし)は、
肘と腰にそれぞれ爆弾を抱えているとの診断を受け、野球部のない千川高校へ進学していた。
しかし、その診断は医師免許のない医師による誤診だった。
大好きな野球を再びやるために、比呂達はまず「野球愛好会」を「野球部」にすべく奮闘する。
ライバルとなる明和第一高校には、国見の親友でありライバルの橘英雄(たちばなひでお)と幼馴染の雨宮ひかり(あまみやひかり)が進学していた。
比呂、英雄、ひかり、そして千川のマネージャー古賀春華の四角関係がどのような結末を迎えるのかが大きな見所の一つとなっている。
あだち充の漫画といえば、間の取り方が独特である。
キャラクターに多くを語らせすぎず、読者に「このキャラはこう考えている」と考えさせるのが上手い。
このH2においては、その間が様々な場面に散りばめられている。
会話の中でキャラクターの表情だけを見せるコマ割りをすることで、読者の想像力を掻き立てるのだ。
あだち充の「間」が詰まったこの作品を読んで、野球の面白さや恋愛の切なさなど、青春を感じてほしい。