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エリアの騎士
天才サッカー少年の兄から心臓移植を受けた弟が、サッカー選手として成長していく物語。
弟にも、もともとサッカーの才能があったのだが、その性格から自分の才能を活かしきれていなかった。兄と同時に事故に遭い、兄の死をきっかけに、だんだんと成長し、才能に目覚め、栄誉を獲得していく。
「移植された臓器が記憶を伝えるか」がテーマの時には少し重く感じたが、全体として軽い感じで物語は進んでいく。それなりに苦難はあるのだが、天賦の才がある登場人物達がその才能を活かして成功を収めていく。この漫画は平成13年頃に少年マガジンに連載されていたもので、昭和40年代のスポーツもの、「巨人の星」などとは程遠い、「根性・努力」や「汗と涙の物語」をあまり表面にださない作品になっていたと感じます。私が学生の頃は「運動中は水を飲んだらダメ。」だとか、今思えばありえない時代だったのだと隔世の感があります。
どんどん時代が変わり、価値観の多様性がうたわれる時代になっています。ゆるやかであっても、少数派の人が生きやすくなっている昨今、暇つぶしのつもりで漫画を読んでも、時代の移り変わりを感じることができて面白かったです。
登場人物が成功していく物語は読後感がよく、安心して読み進められます。