風の谷のナウシカを映画だけで終わらせるのはもったいない
「風の谷のナウシカ」は数年に1回は金曜ロードショーでも放送される宮崎駿監督の誰もが知る超有名アニメですが、原作のマンガを未だ未読の方はぜひ一読をおすすめします。この物語は、環境破壊で空気の汚染された近未来のヨーロッパが舞台で、航空戦艦を使った各国の戦いやらオームなどの巨大な虫達や巨神兵が登場する冒険活劇ですが、マンガ版では全7巻で合わせるとちょっとした事典並みのボリュームで2時間ちょっとのアニメ版では描き切れなかった世界の謎や放送時間の都合上、未登場のキャラクター等も出て来て読みごたえがあります。アニメでは巨神兵は今の核兵器のような人類にとって脅威的な存在ですし、オームは地球を守る救世主的な存在ですが、原作マンガではそれらの立ち位置がガラッと変わり、1次元から2次元に移り変わるかのような感覚が得られます。原作マンガを読み終わると、宮崎駿が本当に描きたかったのはこういうことだったのかとその世界観と物語のスケールに唸らされます。アニメ版はそれ自体で十分楽しめるものになっているのですが、原作マンガは登場するキャラクターの関係性がより複雑化し、物語も非常に哲学的で奥が深いです。宮崎駿の意図としては、幼少期にアニメを観てこの作品の表面的な世界を知り、ある程度大人になって原作マンガを読むことでこの作品の深部までを知ることができるようにしたのだなと窺い知れます。原作の方も人生で一度は読んでおくことをおすすめします。