ポセイドン・アドベンチャー

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ポセイドン・アドベンチャー
9

留まるな、上へ上へ登れ。

楽しい船旅は、転覆と共に地獄へと変わった。
「タイタニック」より遡ること25年。こんな昔に完成したディザスタームービー(災害映画)があったのか。
アテネ行き客船「ポセイドン号」は、最終航海に出ていた。しかし、天候が悪い中オーナーの無理な指示で航海を続けた為、津波を受け転覆してしまう。乗客たちは上下逆転した船から無事に脱出できるのか?
主人公の牧師、フランク・スコット(演:ジーン・ハックマン)は「神はただ拝んでいる人ではなく、努力したものを助ける」をいう独自の宗教観を持っている。
彼は、その宗教観を自ら体現する様に乗客にその場で救助を待つのではなく、船の上へ上へ(転覆しているので船腹だが)と登ることを求める。彼と彼に賛同した人達以外はホールに残り、水に飲まれてしまう。この様はノアの箱舟の様でもあり、「現状維持は停滞である」といった現在の日常にも通じるメッセージを与える。
この後もスコット一行は数々の困難に遭遇、ときに衝突し仲間を失いながらも、救助隊が来るであろうスクリュー室へと登って行く…
1972年の映画作品であるが、悪い意味の古さは不思議と感じない。CGを使わずともセット、画作りの工夫やドラマの充実で現在の作品に対して見劣りを感じさせないのだ。また、単にパニックものとして楽しむだけでなく、船からの脱出を自分の人生に当てはめると勇気が湧いてくる作品でもある。