浜田省吾物語
今の歌手やバンドのボーカリストについてはよくわからないが、昔のフォークシンガーやシンガーソングライターというのは、曲の歌詞がその歌い手の人生そのものであるということが多い。浜田省吾もそんな歌手の1人である。
彼はバラードの良く似合う野心家というのが非常に印象的である。少年時代は貧しくて非常に苦労していたということが、出す曲、出す曲、全てににじみ出ているのがよくわかる。彼の歌手人生は「路地裏の少年」から始まるが、この題名からだけでも、少年時代の貧しさをイメージできるのではないだろうか?
しかし、彼はそんな自分の境遇に甘んじたりはしなかった。富を得るという野望のため、前へ前へと突き進んだのである。デビュー曲もある程度売れはしたのだが、カップヌードルのCMソングになった「風を感じて」で更に大ブレイクを引き起こした。この曲では、それまでのイメージを一新して、気楽に生きようといった内容だったが、その曲にもところどころ、彼の野望が見え隠れしていたようだ。その後も人気は維持しつつ活動を続けていたが、しばらくたったころ、またブレイクの波に乗ったのである。「Money」と「Dance」が立て続けにヒットした。特に「Money」は、前述した彼の野望が詰まった作品だ。彼の思いは、まだ志半ばである。その夢が叶うまでいつまでも活動を続けてほしいと願っている。