ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒 / Gamera 3: The Revenge of Iris

ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒 / Gamera 3: The Revenge of Iris

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』とは、大映制作の平成ガメラシリーズ第3弾。前2作を受けての完結編として作られた。1999年3月東宝系公開。監督は前2作に引き続き金子修介。前作『ガメラ2 レギオン襲来』から3年後の世界を舞台に、ガメラによって両親を殺された少女の憎しみが生んだ謎の生命体イリスとガメラとの壮絶な戦いを描く。京都駅での最終決戦は怪獣映画史上初の屋内決戦となった。キャッチコピーは「わたしはガメラを許さない。」

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ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒 / Gamera 3: The Revenge of Iris
9

私はガメラを…

平成ガメラシリーズ3部作のラストであり、未だに続編への渇望が絶えない傑作です。
前作「ガメラ2 レギオン襲来」のラストにてガメラは究極のプラズマ火球をレギオンに放ち、消滅させる事に成功したものの、それにより地球自体のパワーバランスを崩し、結果として世界各地にギャオスの大量覚醒の引き金を引いてしまいます。果たしてガメラは人類の守り神なのか?前作まで直接的な人的被害を敢えて描かなかった部分をまるで何かにとり憑かれたかのように、冷徹なほど描写していくのも本作の特徴です。
週末の渋谷、唐突に始まるガメラとギャオスのバトルは、その場に居合わせた人々に構わずビルを破壊し火球を放ちます。緻密な特撮と実景との合成がリアリティを高め、非常に臨場感のあるシーンになっています。そのニュースを見ていた、かつてガメラとギャオスの戦闘に巻き込まれ両親を失った少女・比良坂綾奈はガメラに強烈な敵意を持ち、ふとしたきっかけで勾玉を手に入れギャオスの変異体をふ化させ育てることで、ますますガメラへの憎悪を膨張させます。ガメラもまた、過去に浅黄という少女の想いを受けて傷つきながらギャオスやレギオンとの戦いにその身を投じており、思いを繋ぐ為に勾玉が媒介するのも同じです。両親と共に失った飼い猫の名前であるイリスとして彼女の思いを受けたように急速に成長する変異体イリスは、やがて綾奈を包み込んで完全体となります。その一連のシーンは幻想的ですが、一方でグロテスクで隠喩的でもあります。決戦の地である京都駅を巻き込んでイリスに辛勝するガメラは、世界中で発生してこちらに迫るギャオスの大群を迎え撃つかのように咆哮。エンディングとなるのですが、残念ながらそれからを描かれる事は無く非常に重い余韻を残しています。