生と死、欲望と闇が渦巻くダークファンタジー
本作のキャラクターデザインは3~4頭身と可愛らしく、主人公は12歳の幼い少女。キッズ向けアニメ作品と誤解されるかもしれませんが、キャラクタービジュアルからの予想を大きく裏切る、生と死、欲望と闇が渦巻くハードなストーリー展開。作りこまれた骨太な設定と描写のダークファンタジーに引き込まれること間違いなしです。
描写が過酷であればあるほど、その挑戦はより尊く、冒険で未知の世界を探求する楽しさを教えてくれます。残虐な描写というリスクのある挑戦をしっかりと描き切ったからこそ、子供たちの互いを思いやりながら進む姿がより際立ち、胸をうつ作品となっています。
舞台は、地球によく似た惑星。およそ1900年前、南海の孤島に直径約1,000メートルの巨大な縦穴「アビス」が発見される。地上には存在しない遺物や生物が見つかり、その謎に魅せられた「探窟家」が続々と唯一の秘境であるアビス探索に挑むようになります。
アビスの淵周辺に栄えるオースの町に住む少女リコは、探窟家を目指し修業中の身。夢は、かつてアビス深部に消えた母親ライザの消息を追うこと。そんなある日、リコは第一層探窟中に機械の体を持つ少年レグと出会うのですが、彼は自分が何者でどこから来たのか、記憶を完全に失っていました。リコは母親を探すため、レグは自分が何者かを知るため、生きて戻れぬ深いアビスへと潜り込んでいくことを決意します。
私の推しキャラは、「んなぁ~」が口癖のナナチです。アビスの第四層で出会う、全身がモフモフでウサギの耳のようなものがついた姿のキャラクターです。可愛い容姿は人体実験の結果なのですが、この話は何回見ても涙があふれて止まりません。
綺麗な映像はさることながら、映像に引き込まれる表現方法が面白いと思います。例えば、荒々しいタッチのシーンがあるかと思えば、動きのない1枚絵のイラストを入れることにより、ある種の願いとして強く訴えかけるなどの演出面での工夫が感じられます。