タリーと私の秘密の時間

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タリーと私の秘密の時間
10

幼児のいるお父さんには絶対に見てほしい

最初にまず映画タイトルをみて、きっとほんわかしたハートフルコメディーなんだなと思っていた。映画の序盤では主人公のマーロが3人目を出産するとういことで、家事育児に翻弄されていた。特に長男は発達障害で手を焼いていて通っていた学校からも転校や家政婦を雇うように勧められる程に。
ここまではごく一般的な家庭の物語だった。しかし、序盤でもタリーは姿を表さなかった。タリーはいったい誰なのか、疑問に思いながら話が進んでいくと、マーロの兄からベビーシッターを雇わないかと提案される。マーロは他人に自分の子供を預けることにすごく警戒していた。
私ももしマーロの立場なら同じ考えを持つはずだ。赤の他人に子供を預けてしまえば、事件事故に巻き込まれる可能性だってある。しかし、心が折れていたマーロは嫌々ながらも雇うことにする。そのベビーシッターがタリーだったのだ。雇われたタリーはマーロの理想的なベビーシッターだった。私もタリーの完璧な姿に驚いた。若いのに、育児も自分のこともこなしていてなぜこんなに完璧なのかととても興味がわいた。
それと同時に分かったのは、夫の育児放棄だ。彼は仕事から帰ってきて、寝室でずっとゲームをしていた。彼はあまり育児とマーロに向き合っていないようだった。ここがこの映画の重要な鍵を握っているように感じた。マーロはタリーの完璧な育児のおかげで、表情も明るくなっていった。見ていてとても嬉しかった。マーロもやっとこれから余裕ができるのではないかと。
終盤になりマーロとタリーは仲良くなって、夜都市へ飲みにいった。ここで疑問をもった。ベビーシッターが育児を放棄してそんな提案いいのか?と。マーロも少しだけならと不安に感じながら承諾したが、案の定つぶれてしまう。車で行ったため、帰りも運転しなければならなかったのだが、ついに事故を起こしてしまった。
そして、ここからタリーの真実が見えてくる。病室で夫はなぜ飲酒運転をしたことについて呆れ果てていた。看護師は夫に「奥さんは極度の睡眠不足です」と告げられる。夫も私も「?」が浮かぶ。「マーロは元気だった。いつもより明るかった」と答えても看護師は信用していないようだった。
そう、これが真実である。タリーは実はマーロが作り出した想像の人物であったのだ。完璧に育児と家事をこなしていたのは寝ずに全てを行なっていたから。現実逃避をしたかったんだろう。そんなマーロに気づかない夫に嫌気がさした。なぜ妻の異常に気づかない?
事故から回復した後、夫は家事育児を手伝うようになった。私はなにかあってからは遅いと感じた。これらよりぜひ子供のいる家庭をもつお父さんには見てほしいと思う。