バイオレンスとドラッグ的な陶酔が炸裂する、サイケデリック調の狂気と紙一重の迷作!
『時計じかけのオレンジ』は、1971年製作のデストピア的な犯罪映画で、監督・製作はスタンリー・キューブリックです。本作は1962年に発表されたアンソニー・バージェスによる同名の小説を原作としています。この映画は見る人の気分を悪くさせるような暴力的なイメージを多用しており、近未来のデストピア的な英国の社会・政治・経済を批判しています。主人公のアレックス(マルコム・マクドウェル)はカリスマ的な反社会的な若者で、クラシック音楽(とりわけベートーヴェン)に耽溺し、レイプを頻繁に行い、いわゆる「ウルトラバイオレンス」を嗜好していました。彼の仲間にはピート(マイケル・ターム)、ジョージー(ジェイムス・マーカス)、ディム(ワレン・クラーク)がいて、アレックスは彼らを「ドルークス」と呼んでいました。フィルムでは、アレックス一味の犯罪がおどろおどろしく描き出され、アレックスは逮捕されると内務相(アンソニー・シャープ)が啓蒙する実験心理的な療法に処せられます。映画はアレックスの一人語りで、彼の独特な俗語が嫌に耳障りな記憶として残ります。映画の全米公開は1971年12月19日で、英国での公開は翌年の1月13日でした。この作品は批評家による両極化した評価で迎えられ、暴力がグラフィカルに描かれているために激しい議論を巻き起こしました。