激動の時代を駆け抜けた男たちと一人の少女の幕末奇譚
音信不通になってしまった父親を探すため、江戸からひとり京までやってきた雪村千鶴。静かに雪が舞い降る夜、千鶴の耳に飛び込んできたのは男の悲鳴と、その悲鳴にかぶさるように響いた甲高い笑い声。恐怖に凍り付く千鶴が目にしたのは、浅葱色のだんだら羽織を着た白髪の隊士が浪士を惨殺する光景。
「逃げるなよ。背を向ければ斬る」惨劇の恐ろしさに震える千鶴にそう鋭く言い放ち、刀を向けていたのは新選組副長・土方歳三だった!
原作は大人気乙女ゲーム。私自身普段からゲームは全くしないので原作のゲームもやったことはなかったのですが、史実に沿って進んでいく物語と、鬼や変若水、羅刹といったダークな要素に一気に引き込まれていきました。教科書にも載っている池田屋事件や蛤御門の変など、歴史を揺るがす大きな事件だけでなく、新選組が屯所として使っていた八木邸・前川邸、壬生寺や西本願寺など、とても丁寧に描写されています。倒幕と佐幕、両者がぶつかり合う混沌の時代に巻き込まれてゆく新選組と千鶴。そんな混沌とした乱世の中でも、「絶対に自分の信念は曲げない。絶対に後へは退かない」という新選組隊士たちの生き様と強さに胸が打たれます。物語は第二期「薄桜鬼 碧血録」へと続いていくので併せて観るのがおすすめです。