他とは一線を画すなんだか懐かしいピアノロック
女性ボーカリストとコンポーザーの二人組ユニットというアーティストの形はもしかしたら制作の効率としては一番良いのかもしれません。
ヨルシカ・YOASOBI・ずっと真夜中でいいのにの3組を並べて「三大夜アーティスト」などと聞いたことがありますが、これらのアーティストはボーカリストとコンポーザーが手を組み、シンガーソングライターでもなくバンドでもなく一番効率良く小回りの利く形で創作活動に臨めているのだろうと想像できます。世界的に有名なBillie Eilishもそのような形をとっていますね。
DAWと呼ばれる音楽制作ソフトが充実したことにより、音楽はほとんど一人でハイクオリティな制作ができてしまいます。
本来であればわざわざ譜面を作って演奏家を雇ってリハーサルをしてやっとレコーディングとなりますが、その工程を全てすっ飛ばすことができてしまいます。
それもそのはず、このコンポーザーたちは元々「ボカロP」として活躍していたため、ボーカリストが初音ミクから人間になったというだけでやることとしては特に変わっていないんですね。Billie EilishのコンポーザーのFinneasはどうか知りませんが。
前置きが長くなりましたが、その中でも私がヨルシカをオススメする理由は「バンドサウンドにこだわっていること」です。
生演奏のドラム・ギター・ベース・ピアノという至ってシンプルなバンド編成で時折スパイスとして無機質な電子音を使うことはあっても基調としているのはがっつりとしたバンドサウンドです。
曲調は2000年代に流行した『君の知らない物語』や『メルト』などで有名なボカロPのsupercellを髣髴とさせる疾走感のあるピアノロック。
意外とこういう曲調を持つアーティストって他に例えようがないくらい少ないんですよね。けっこう好きなんですけど。
あまり他と比べるのは野暮だとは思いますが、他の同系統のアーティストを聞くといかにも電子音がごちゃごちゃと詰め込まれているのに対して、かなり爽快感と哀愁のあるバンドサウンドなのでとても聞きやすいです。