すばらしき現実とファンタジーの融合
『東京リベンジャーズ』は漫画家・和久井健の最新作で、週刊少年マガジンに連載されている少年漫画です。元スカウトマンの経験からリアルな世界を描き反響を呼んだ代表作『新宿スワン』から一転、主人公は26歳フリーターの男性、そしてジャンルは不良×タイムリープ!
物語は冴えない人生を送っていた男性がタイムリープ能力を得、生涯唯一の恋人であった女性が亡くなる未来を変えるべく奮闘する…というもの。それだけを知るとただのSFなのではないかと敬遠される方もいるでしょう。しかし本作の魅力は別のところにあります。
まず1つ目に、1作でSF、ヤンキー、青春、恋愛と様々なジャンルを楽しめること。タイムリープという設定以外にSF要素はなく、またリアルな人間関係が描かれることもしばしば。そのためファンタジーでありながら彼らの存在を身近に感じ、のめりこむことのできる作品となっています。主人公が喧嘩にとても弱いというところもそれを強める一因かもしれません。
2つ目はキャラクターが魅力的であることです。本作に登場するキャラクター全員に詳細な過去があり、それを知ることでさらにそのキャラクターに感情移入してしまいます。さらに漫画だけでなく、公式のSNSで定期的に挙げられる「和久井先生の落書き」という名のイラストでも彼らの細かい設定を知ることができます。
「タイムリープして過去へ行き、未来を変えることができる」という主軸があるだけに、様々なキャラクターの過去や未来を変えてほしいと先の展開を予測しながら楽しむこともできるので、考察が盛り上がる作品でもあります。
不良漫画やSF漫画など、読む人を選ぶ作品も多い中でこの『東京リベンジャーズ』は程よくリアルとフィクションを融合させ、幅広い人々に受け入れられる作品になっていると感じます。ぜひ一度お手に取ってみてください。