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仮面ライダーBlackの素晴らしさ
今回紹介するのは、仮面ライダーBlackの漫画版です。
1987年から1988年にかけて「少年サンデー」にて連載されていました。作者は、サイボーグ009などでおなじみの石ノ森章太郎先生です。仮面ライダー作品は数あれど、石ノ森先生が自ら執筆されたのは、仮面ライダーの第一作目と、この仮面ライダーBlackのふたつしか存在していないと認識しています。
さて、この作品は、主人公の名前とか、ゴルゴムとの戦いという基本的なプロットはテレビ版と同じですけれど、話の内容は大きく違います。最初の頃は、シンプルに悪の怪人を倒していく場面もあったりしますが、石ノ森先生のヒーロー物に多くみられる、徐々に悲劇の色が濃くなる展開に移っていきます。
テレビ版では、主人公の南光太郎と親友の秋月信彦の戦いは、正義と悪、あるいは光と闇の戦いという分かりやすいものでしたが、漫画版では、戦いの勝者があらたなる魔王になる運命をにおわせ、明るい未来が見えない展開となっていきます。はたせるかな、戦いの決着がついても、ハッピーエンドとならない最終回は、いかにも石ノ森作品らしい悲しくも印象的なインパクトを与えてくれます。ぜひ手に取って読んでみることをお勧めいたします。