すべての人に読んでほしい、最高に面白い「YAWARA!」
「MONSTER」や「20世紀少年」など大ヒット作ばかりを持つ稀代の漫画家である浦沢直樹の才能が世に放たれた最初の作品かもしれません。
青年漫画誌である「ビッグコミックスピリッツ」で1986年から1993年にかけて連載された漫画で、アニメ化もされました。
これだけ聞くと、だいぶ古い作品である印象を持つ人も多いかと思いますが、今読んでも陳腐化するどころか不変の面白さがあります。
ここでは、その面白さを2つのポイントに絞ってわかりやすく紹介したいと思います。
まず一つは、いわゆる”スポ根モノ”としての面白さです。
主人公の猪熊柔は柔道の天才として生まれましたが、そのことに悩む普通の女の子です。柔は決して好んで柔道をしたいとは思っていない、つまり真剣に柔道に向き合っていないところから物語が始まりますが、友人やライバルとの出会い、家族や自分を想ってくれている人の思い、を受けて柔道に向き合っていくようになり、最後は金メダルを取り、柔道が楽しいと発言するに至っています。スポ根としてのこれ以上ないカタルシスになっているのです。
もう一つは、”恋愛モノ”としての面白さです。
「YAWARA!」の物語においては、柔の柔道と恋愛が両輪のメインテーマとして描かれています。柔道での成功と恋愛の進展が非常に秀逸に絡み合いながら物語が展開されていきます。古今東西男女の恋愛は万人の胸を高鳴らせますが、「YAWARA!」のそれはその中でも最高級の出来になっています。例えていうなら、少女漫画的なドキドキする初心な恋愛とNHKの朝の連ドラ的な優しい恋愛と1990年代のトレンディドラマ的なオシャレな恋愛が絶妙に混ざり合っているという感じです。三角関係などを乗り越え、最後に柔とその思い人である松田が両想いになるラストは感動と胸キュンが凄いです。
読んだことのない人はぜひ読んでみてください。老若男女誰でも最高の気持ちになれる不朽の名作です。