町を覆う霧の中で起こるパニックと生き残った主人公の虚無感
人間の生への自己保存本能というか、人間にとって死とはどういうことなのか深く考えさせられてしまった。ジャンルはホラー映画ということになるのだろう。ある町が霧に覆われ、その中には巨大な虫や怪物がいて、人間が次々に隙をつかれ、襲われ、殺されていく。住民はショッピングセンターに逃げ込み眠れない数日を過ごす。その間も虫や怪物の襲撃はやまず、次々犠牲者が出る。群集心理でパニックを起こし、疑心暗鬼に陥り宗教じみたお告げで人々を先導する女性まで現れる。それらの虫や怪物がどこから来たのか、どうやって発生したのか最後まで分からず恐怖をあおる。主人公はみんなを救おうと必死になるのだが、最後まで彼を信じてついてくる4人の仲間とショッピングセンターから車で脱出を図る。車の燃料も切れ、苦しまずに死ねるようにと持っていた銃を仲間の眉間に打ち込んでいく。老若男女を問わず、子供もいればおばあさんもいる。彼も最後にその銃で仲間のあとを追うつもりだったのだが、霧の切れめに彼が見たものは何だったのか?痛烈な皮肉のラストが待っている。当たり前のように生きて生活しているが、命あっての自分という意識があり、明日を無事迎えられるありがたさが身に染みた。