伏線の押収とキャラクターの魅力が詰まった作品「Pandora Hearts」
スクエアエニックスの月刊Gファンタジーで10年以上連載されていた望月淳の漫画「Pandora Hearts」は全24巻のダークファンタジー作品です。美麗なアナログイラストで展開されるアリスモチーフの世界観と貴族間の駆け引きは非常に魅力的であり、1コマ1コマの表情にまで意味があるのではないかと思わされる伏線の細かさに引き込まれます。序盤で意味深だった台詞がクライマックスで輝いたりもするので、何度も読み返したくなります。複雑な物語構成なので一気に読み進めたくもなり、重厚な世界観と人物関係に心を揺さぶられたりと、最後まで飽きさせません。
2007年にフロンティアワークスよりドラマCDが発売された後、2009年4月から同年9月までにアニメーションも放送されました。原作の完結前にアニメ化したため、オリジナルのストーリー展開がありますが、「魔法少女まどか☆マギカ」や「鬼滅の刃」などの劇伴で有名な梶浦由記の曲と共に楽しめる映像作品は、まず作品に触れてみたい人向けの入り口となっています。また美しいイラストとアリスモチーフの世界観は非常に人気が高く、グッズ展開やコラボレーションカフェ、画集の販売でも多くのファンを魅了しました。人によって好みに刺さるかどうかは個人差があるかとは思いますが、読み始めたら続きが気になる作品であることは確かです。