若き獅子たち

kutakafm7のレビュー・評価・感想

若き獅子たち
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大衆作家アーウィン・ショウの人気戦争小説を巧みに映画化した佳作『若き獅子たち』

『若き獅子たち』は1958年に製作された米国の第二次大戦映画で、監督はエドワード・ドミトリク、出演はマーロン・ブランド、モンゴメリー・クリフト、ディーン・マーティン。モノクロ画面ですがシネマスコープ仕様で上映され、製作会社は20世紀フォックス映画です。本作は1948年に発表されたアーウィン・ショウによる同名の小説を原作にしています。
本作は映画評論家に好意的に受け止められており、映画批評サイト「ロッテントマト」では83%の批評家が肯定的な評価をくだしています。映画のストーリー展開は多岐にわたるので「形態のないモザイク」のような印象を与えますが、本作は第二次世界大戦の青春群像が描き出される1枚のキャンバスのように仕上がっていると『ヴァラエティ』誌は評しています。脚本家のエドワード・アンハルトはアーウィン・ショウの小説を巧みに脚色し、監督のドミトリクはリアルな演出に徹し、主要なキャストはほぼ全員がその力量を十二分に発揮していることが画面から伝わってきます。演技陣では、オーストリア人のマキシミリアン・シェルがドイツ人大尉役で怜悧な演技を披露していることも見逃してはいけません。1970年代の大型戦争映画『遠すぎた橋』では職業軍人を演じきるシェルもまだ若々しい姿を作品で示しています。