タクシードライバーの世界
クシードライバーは1976年に公開された映画で、第29回カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品です。カンヌというとメジャーな映画祭ですが、やはりヨーロッパでニヒリズムを描いた作品が受賞するのかなと思います。私の知っている受賞作品のうち4作品のうち全部が、殺人なり、家族で万引きを繰り返すというあらすじです。
あくまでもあらすじで演出、脚本などは違ったものを表現しているのでしょうが、やはり根底にあるのは歪みざるを得ない状況に陥った人間の病める世界だと私は思います。そこにしか出ない人間の苦悩、情感などが作品に多く描かれているのでしょうか。
映画「タクシードライバー」も孤独、狂気、犯罪が作品の基盤になっています。ベトナム帰りの帰還兵というところから、まずアメリカの病めるテーマが浮き彫りにされます。不眠症でタクシードライバーの職に就きやがて狂気の度合いをましていく孤独な男をロバート・デニーロはある種、淡々と演じていると感じるのは私だけなのかもしれません。しかし、ニューヨークの街にはびこる麻薬、娼婦、それを斡旋する腐敗した人間たちを距離をおいてながめる人間として描かれているとおもいます。エンディングシーンのルームミラーで乗客を怪訝そうに二度見するところが個人的には印象的でした。