インディア・ソング / India Song

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インディア・ソング / India Song
10

風土と恋愛

『インディア・ソング』は、フランスの作家、マルグリット・デュラスが自らメガホンを撮った映画です。
作品は1974年に制作されました。
作品の舞台は1930年代のカルカッタのフランス大使館で、大使夫人に惹かれたラホールの元副領事が精神に異常をきたしてしまう物語です。
その主題は愛と倦怠感でしょう。恋しても報われない愛の悲しさ、つらさがこれでもかといえるほど描かれています。
さらにこの映画を特徴づけているのがカルカッタの風土、その暑さが人々の精神を腐敗させていくことが巧みに描写されています。
こういうやりきれなさは寒い土地ではあり得ないでしょう。
もちろん寒い国での生活のしにくさ、生きにくさというのもあるわけで、温暖な土地よりも厳しいと言えます。ただ温暖を通り越して暑すぎると、これはこれで心を病んでしまうのですね。
この映画の主役のフランス大使夫人を演じているデルフィーヌ・セイリグはとても謎めいた魅力を放っています。
この映画のシナリオは、監督であるディラス自身が書いていますが、シナリオを読んだだけではわからない映像の美しさがあるといえるでしょう。
音楽もけだるさを見事に表現しています。ですからシナリオを読んだだけの方は、ぜひとも映画を見てほしいと思います。