障碍者の社会参加の意義が解る映画
実写版の本作では、恒夫役は妻夫木聡、ジョゼ役は池脇千鶴になっています。現在よりもかなり豊かで余裕のあり、SNSなども無かった2003年に作られた映画なので、ジョゼの暮らす公営住宅の描写なども、何かと猥雑に描かれていて、大学生の恒夫やその周囲についても、余裕のある暮らしをしているのが時代の変化を感じさせました。
公営住宅に住むジョゼと祖母ですが、二人で貧しく暮らしているため、行政の補助で様々な物があることも知らず、恒夫が周囲の知人に頼んで暮らしやすくするための事を行政からしてもらえます。高齢者世帯や障碍者世帯とそれ以外との公的な扶助に関する情報格差というものの大きさについて考えさせられました。
ジョゼに関しては恒夫との関わりを偶然に持てたことにより、様々な変化がありますが、そういうものの無い方は、当然受けられる公的扶助の事もあまり知らずに過ごしていそうです。福祉関係者や医療関係者が、ノーマライゼーションというものをよく言っていますが、なぜそれが大切なのかが解る映画でした。
恒夫の元彼女(上野樹里)はジョゼに嫉妬して、心無いことを言ったりしますが、それなりに対等なところがないと、無関心で単なる気の毒な相手なままなのでしょう。そう考えると、様々な人の社会参加の意義が解りました。