漫画版は映画版をより深く掘った作品
映画版はこの漫画版のほんの一部を映像化しただけにすぎません。
私はこの作品に、宮崎駿さんが生涯をかけて訴えたかったこと全てが詰まっているように思います。
「となりのトトロ」や「崖の上のポニョ」といった可愛らしい作品とは一線を画す、強烈なメッセージがこれでもかというほど詰まっています。
映画版でもなかなか心痛くなる場面が多いのですが、漫画版はそれの比ではありません。人間の愚かさを畳みかけてくる感じです。
そして自然との共生の大切さ。
さらには、「生きる」とは?
映画版をご覧の方はご存知だと思いますが、ナウシカは風の谷の女王でありながら、いろんな運命に巻き込まれていきます。
漫画版ではそこをもっと深く、ただの一国の女王に止まらず、さらに様々な運命が彼女を襲います。
複雑に、緻密に練られた真実の全てを知った時の彼女の心境は計り知れません。愕然とするものがありました。
投げ出したい運命の中を必死に駆け抜ける彼女はそれでも「生きねば」という言葉を残します。
腐海はなぜ出来たのか?何のためにあるのか?蟲たちの役割とは?
その答え全てが漫画版では明らかになります。
決して軽い気持ちでは読めませんが、この世に生きる以上背を向けることの出来ない大切なものを私はたくさん学べました。