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待望? 蛇足? 前作「甲賀忍法帖」に詳しい人向けの続編が登場
「桜花忍法帖」のストーリーは、前作「甲賀忍法帖」の続編に当たるものです。前作「甲賀忍法帖」は、次期将軍決定のために殺し合いをさせられた忍者たちの、戦争の物語でした。政治に翻弄された忍者たちの戦いを描いていました。その戦いにより20名の忍者が全滅してから十数年後の話として「桜花忍法帖」が始まります。
しかし続編とはいっても、登場人物の関係において決定的な違いが2つあります。
1つ目は、甲賀と伊賀は敵対関係でありながらも、共同の計画を進めていること。両者は山奥の里で共に暮らています。
2つ目は、第三勢力である「成尋衆(じょうじんしゅう)」が登場すること。前作「甲賀忍法帖」では「甲賀 VS 伊賀」の戦争であったのに対して、今作「桜花忍法帖」は「甲賀・伊賀 VS 成尋衆」という関係です。
「桜花忍法帖」のストーリーは、前作「甲賀忍法帖」と同じく、登場人物つまり忍者たち個々の特殊能力に負う面が大きくなっています。つまり、「甲賀忍者と伊賀忍者の戦争」。登場人物が出揃った後の戦いは、相変わらず殺し合い展開が進みます。特殊能力を持ち存分に活躍したキャラクターたちが次々と死んでゆき、誰も結ばれることなく散ってゆくのは儚く寂しげに思えるものの、この無情感こそ「忍法帖」シリーズの特徴でしょう。