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東村アキコの半生
『東京タラレバ娘』や『海月姫』で有名な東村アキコ先生の、学生時代から漫画を書き始めた頃の実話を漫画にした作品です。
実は私は上記作品の名前は聞いたことはあっても読んだことはありません。たまたま薦められ、それも5巻完結とお手頃だったので軽い気持ちで読んでみました。すると、まんまと東村ワールドに引き込まれてしまい、5巻休むことなく読みあげてしまいました。他の作品のことは分かりませんが、とにかくご自身のエッセイということもあってか、お話しはひじょうにコミカルに描かれていて、途中何度もクスクス、いやゲラゲラ笑いながら、しかし所々でなんとも言えない切なさを挟んでこられ、私はその虜になってしまいました。誰もが通る花の高校・大学生活。きっとこの頃が一番自由で、体力も変な自信も兼ね備えていて何でも出来て…でも一番肝腎なことからは目を背け、それに気付かないように、蓋をするように過ごす日々。モヤモヤしてるのに、それを忘れるように遊び倒す東村先生と過去の自分がとてもリンクしました。
このお話しを書くのはきっと先生にとって、触れたくない自分の引き出しを開ける作業だったことと思います。でも向き合うことで先に進めるんですよね。私も封印してた思い出を一緒に開封できた気持ちになりました。