8
絆の切なさと強さを知る作品。
2019年7月26日に、Nintendo Switch専用作品として発売された『ファイアーエムブレム 風花雪月』は、今までの『ファイアーエムブレムシリーズ』の美しい部分をすべて体現したような素敵なゲームデザインになっています。このゲームシリーズの最も大きな特徴はやはり、「死の概念」でしょう。「ゲームでは倒された敵も味方もボタン一つで蘇る」というゲーム定説を逆手に取ったゲームデザインで有名です。自分の味方が傷つき、戦場で倒れてしまうと、今後一切、その味方と共に戦うことはできなくなるという画期的なゲームシステムで、『ファイアーエムブレムシリーズ』はその魅力を体現してきたのです。(作品によっては、この機能をオフにして遊ぶこともできます。)以下ネタバレになりますが、本作品の主人公は、とある士官学校の先生です。自分の味方になってくれる戦力は自分が受け持つ学級の生徒です。また、学校の先生なので、隣のクラスの生徒と交流を持つこともありますし、好意を持たれることや、相談に乗ることもあります。単純に考えてください。そんな生徒たちが、いざ戦場に出たら、自分を庇って倒される場合もあります。自分の指示が不適切であったがために、策に嵌められて、生徒の命が絶たれることもあるのです。また、ストーリーの展開次第によっては、自分がかつて指導した卒業生たちと戦場で命を取り合うこともあります。絆があったからこそ辛い思いをし、あったからこそ乗り切れる困難がある。そんな、絆の切なさと強さをプレイヤーに教えてくれる作品です。おすすめです。