遊星からの物体X

遊星からの物体X

『遊星からの物体X』(ゆうせいからのぶったいエックス、原題: The Thing)とは、1982年に公開されたアメリカ合衆国のSFホラー映画である。監督はジョン・カーペンターが務め、主演をカート・ラッセル、共演をA・ウィルフォード・ブリムリーらが務めた。SFXはロブ・ボッティンが担当した。1951年の映画『遊星よりの物体X』に続く、ジョン・W・キャンベルによる短編SF小説『影が行く』の2度目の映画化作品であり、南極基地に突如出現した地球外生命体と、それに立ち向かう隊員たちの死闘と心理的葛藤を描いた作品である。
1951年版のリメイクというよりは原作『影が行く』の忠実な映像化であり、通信機能が途絶した極寒の南極越冬基地という密室空間を舞台に、人間に同化・擬態する生命体の脅威と、誰が本物の人間であるか分からない極限状態における心理戦を描いている。SF的理論に基づいて同化や増殖の生態が描写されており、明確な決着を見せないまま幕を閉じる展開も特徴とされる。
ストーリーは、1982年の冬の南極大陸において、ノルウェー観測隊のヘリコプターが1匹のハスキー犬を追撃しながらアメリカ南極観測隊第4基地へ現れる場面から始まる。混乱の中でヘリが爆発し、銃撃を続けたノルウェー隊員が基地側によって射殺されたため、ヘリ操縦士のマクレディらは真相解明のためノルウェー基地へ向かう。そこには破壊された施設や異形に変形した焼死体が残されており、一行は調査のために記録フィルムと遺体を持ち帰る。しかし、逃げ延びていたハスキー犬は基地内で異形の生命体へと変貌して他の犬を襲い、持ち帰った焼死体も蘇生して隊員と同化を開始する。調査の結果、この「物体」は他の生物を取り込んで同化・擬態して増殖する能力を持ち、人類社会に到達した場合は約3年で全人類が同化される試算が浮き彫りとなる。事態を重く見た主任生物学者のブレアは、外部への流出を防ぐため通信機や移動手段を破棄し、基地は完全な孤立状態に陥る。誰が「物体」に乗っ取られているか分からない状況下で、隊員たちは互いへの疑心悪鬼を深めていく。
なお、本作の前日譚を描いた続編的映画として、2011年に『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が公開されている。

aym345f1のレビュー・評価・感想

遊星からの物体X
10

その生物の細胞に入り込み、見かけは全く変わらないが中身はその異性体になっているという恐ろしい生物と南極の極地に閉じ込められた人間たちとの戦い

とにかく面白い。最初はなぜ犬をあんなに恐れるのか不思議だったが、人気がなくなった犬小屋でその生物が正体を現す。そのなんとも不気味で気持ちの悪い事。身体のすべての部分が命を持ち、血までが動き回る。恐ろしいのは知らないうちに異性体に乗っ取られても、傍目から見てもわからないことだ。南極観測隊員たちも一人、また一人と異性体に乗っ取られてゆく。誰も信じられない恐怖。その中で主人公は誰が異性体に乗っ取られたか見つけ出す方法を考える。血液検査だ。人間の血は熱を当ててもただ死ぬだけだが、異性体の血は熱から動いて逃げ出す。その方法で乗っ取られたものを見つけ出すときの不気味さ。最後まで息もつかせぬ展開で見終わってしまった。音響効果も抜群で、ひとを不安にさせるような単調なテンポが淡々と流れる。最後に生き残った主人公と異性体に支配されているのかわからない観測隊員との会話が、将来を想像させる。火が消えればまた冬眠する。恐ろしい。非常によく書かれた脚本だと思う。一番怖いのは次々と繁殖していく異性体ではなく、お互いを疑って疑心暗鬼に陥り、人間同士で起こる殺し合いである。やはり人間は人間の手によって自滅していくことだろう。