忘れていい記憶なんてない(青の祓魔師 ―劇場版―)
大人気漫画の「青の祓魔師」の劇場版です。
劇場版で鑑賞したのですが、本当にアニメなのかと目を疑うほどの、ため息が漏れてしまうようなダイナミックで美しい背景が素敵です。
原作もテレビシリーズも見てないという方も、背景だけでもこの作品を見る価値は十分にあると思います。
作品は、原作やアニメの長編と長編の隙間にスッと入るような時系列の話で、導入までがとても自然です。
悪魔の王・サタンの息子でありながら、その悪魔を戦うべく毎日修行に勉強に大忙しな主人公の少年・奥村燐はひょんなことから、時を操ったり、人の記憶を食べてしまう能力を持つ悪魔・うさ麻呂の面倒をみることになってしまいます。
とにかくワガママで見た目通り子供っぽいうさ麻呂に手を焼きながらも、だんだんと兄弟のように心を通わせていくのは仲睦まじく、とても微笑ましいものでした。
しかし、重い過去をもつ燐が、寝ていた際に過去の夢にうなされているのを見かねたうさ麻呂は、良かれと思って燐の辛い記憶を食べてしまおうとするのですが、映画としてはまだ途中なのに、クライマックスかな?と思うほどに大泣きしてしまいました。
「燐、うさ麻呂は忘れないぞ」というセリフを最後に存在ごと消滅してしまううさ麻呂ですが、燐の心の奥底にはずっとうさ麻呂が残っている、というラストはまさに号泣ものです。