甲鉄城のカバネリ / Kabaneri of the Iron Fortress

甲鉄城のカバネリ / Kabaneri of the Iron Fortress

生駒とは、『甲鉄城のカバネリ』の主人公。顕金駅に住む、ぼさぼさの黄土色の髪が特徴的な蒸気鍛冶師の少年。密かに収集したカバネの死体を用いて研究を行い、独自の武器「ツラヌキ筒」や、カバネのウイルス侵食を食い止める器具を開発していた。ある時、顕金駅に侵撃したカバネと戦うも、噛まれてしまう。自作の器具でウイルスの侵食を止めたが、体はカバネながら理性と人格を保った存在・カバネリと化してしまった。

2tmanyu_yukkyのレビュー・評価・感想

甲鉄城のカバネリ / Kabaneri of the Iron Fortress
8

貫け、鋼の心。取り返せ、誇りを。

カバネを倒すため、カバネとなる。人か、カバネか。
舞台は極東の島国、日ノ本。蒸気機関が発達したこの国では人を食らうカバネと呼ばれる怪物が跋扈していた。
カバネに噛まれた人はカバネとなり、人を襲う。人々は身を守るため「駅」という砦を築き、「駿城」と呼ぶ蒸気装甲機関車で移動しながら暮らしている。
メカニックや蒸気機関、特殊装甲など登場する設定は武骨なものが多いが、好きな人にはたまらない世界観となっている。
主人公はカバネに噛まれた少年、生駒。彼は噛まれた後も生存し「人とカバネの狭間にあるもの:カバネリ」となる。周囲の人間の多くは生駒をカバネと同じく人を襲う存在と決めつけ、偏見の眼差しを向けるが、カバネと戦い人を守ることで信頼を得ていく。
生駒に戦う術を教えたのはカバネリの少女、無名。幕府の駅である鋼鉄城を目指す彼女は自らの駅を失った生駒たちと行動を共にする。普段はかわいい女の子だが、戦闘時は衣装やメイクも施しているため美しい。カバネリであるが故の存在価値に悩む姿には必死さが窺える。
戦いに身を置くことで周囲の人間も成長していく。その中でほのかな恋模様や日常の様子も描かれているため良い緩衝材となっている。全体的には疾走感があり休息パートがありつつ中だるみしない内容になっており、最後まで飽きずに見ていられる。
見どころは戦闘中の動きの素早さ、美しさとバリエーションに富んだ戦い方。画面いっぱいに動き回り大立ち回りする無名と生駒に日本刀を携えた剣士、来栖の静かな太刀裁きがまさしく動と静。戦闘時のBGMは澤野弘之を迎え耳に残るスタイリッシュな曲が多くある。
鋼鉄城にたどり着いた彼らに待ち受ける陰謀、カバネとの闘いの果てに得るものとは。
最終話まで一気に見てほしい作品となっている。