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ジャンルの枠にとらわれない、自由への闘争
HIP HOPのシーンでトラップが台頭し、エッジーで新鮮な音に塗り替えられていく一方で、同じブラックミュージックのカテゴリーにあるR&Bでは、こちらもオルタナティブR&Bのアーティスト達が、新しい音と価値観を見出してきていました。
ミゲルもそんなオルタナティブR&Bを代表するアーティストの一人でありますが、彼にはブラックミュージック、R&B/ソウルの枠にとらわれない、ジャンルレスな魅力があります。
また、メキシカンの血が流れ、自身もそのルーツを大切にしおり、中南米のエキゾチックな香りと、メキシコ料理のようなスパイシーな味つけが、曲の中にも感じられるように思います。
アルバムにはそれぞれコンセプトがあり、自分自身の目覚め、成長と繋がっているようで、そのアイデアはリスナーにとっても刺激されるものです。
『Kaleidoscope Dream』では、「自分の経験をコントーロールしていることへの気づき」、『Wildheart』では、「直感を信じ、解放されて自由になること」、『War & Leisure』では、「自分自身で行動を起こすこと」がテーマになっているということが、インタビューで語られていました。
聴いたときに気持ちが入り込む曲、何か心に響く曲は、そのとき自分が直面しているものと、アルバムにおけるコンセプトが一致しているのかもしれません。
ミゲルは人々の、特に若者のアイデンティティの確立や、自由を望み、それを音楽として表現していると言います。それはきっと彼自身も模索し、挑戦し続けていることなのでしょう。