愛が溢れる作品
『あしたのジョー』が連載開始から50周年を迎えたことを記念し、『あしたのジョー』を原案として制作されている作品で、その完成度たるや素晴らしく、画面の隅々にいたるまで『あしたのジョー』への愛が溢れています。
舞台は未来で、ギアという装具をつけてボクシングするSFチックな設定で、とても現代的な作品イメージなのだけど、回を追うごとにまるで自分が昭和にタイムスリップしてTVを見ているような感覚になります。
最近のアニメ作品だと線がはっきり1本で描かれていたりしますが、この作品ではザラっとしていて、所々カスレているような線で描かれており絵に風合いがあります。画面の色合いも渋い色調で、まさに『あしたのジョー2』を彷彿させていて、細部までのコダワリがハンパなく、全くをもって心憎い。
キャラクターの表情なども『あしたのジョー2』にすごく似せてあって「ジョー愛」が見て取れます。…と少々偏った見方をしてしまうのだけど、お話としても王道というか、割とちゃんと『あしたのジョー』をなぞっているので、原作を知っている人はもちろん、初めて見る人も熱い男の戦いのストーリーを楽しめると思います。ただ最近のフラットであっさりした話の作品に慣れている人には、ちょっと濃くて暑苦しいと思うのかもしれませんね。