東京下町出身のラッパー、ZORNの魅力。唯一無二のそのリリックに震えろ。
ZORNはかつては、ZONE THE DARKNESSというMCネームで活動していました。
当時は、2人のラッパーがお互いにラップを通してディス(悪口)を広げる即興バトル、通称MCバトルで活躍していました。
また、当時リリースされた音源でもかなり攻撃的なディスを多方面に放ったり、セルフボースティングという、自己肯定、自己賛美を行っていました。
どちらもラッパーとしてはよく使われる表現ですがその独特のフロー(リズム感)は、今聞いても特徴的で一度聞くと耳を離れません。
しかし、そのZORNが今まさに評価されている理由はそこにはありません。
ZORNが評価されたのは、あくまで等身大、リアルに沿ったラップをしたからでしょう。
ヒップホップ、ラップの世界で「リアル」というのは非常に重要な要素です。
簡単にいうと、貧困でもないのに貧困のフリをしたラップをしても説得力がないですよね?
ヒップホップの世界では、その説得力が一つの魅力として扱われています。
ZORNはまさに、その「リアル」に1つ新たな可能性を提示しました。
暴力やドラッグなど、いわゆるステレオタイプのラッパーではなく日常のリアルをラップで表現したのです。
この表現がまさに、革命的な新しい要素です。
『洗濯物干すのもヒップホップ』
このフレーズは、これからも語られ続けるであろうパンチラインです。
簡単に説明すると、周囲にある日常がヒップホップならそれはヒップホップであるという、自己肯定の一つなわけです。
前述のフレーズが出てくる楽曲は、『My life/ZORN』です。
さまざまな日常がこの曲ちりばめられています。ぜひとも一度聞いてみてください。
濃密な5:40があなたのことを支配することは間違いありません。