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リアルな幽霊描写
前作の「アイ」に引き続き、パン兄弟が監督した続編ですが、内容自体は前作と繋がりがない為、本作単体でも問題なく鑑賞できます。この映画は、とにかく幽霊の描き方がリアルなのが売りだと思います。「リング」や「呪怨」といったいわゆるJホラーとは質感や見せ方が異なりながらも、アジア圏特有の個性なのか、じっとりと湿って陰鬱な幽霊描写の数々がかなり素晴らしいです。僕自身はホラーを見過ぎて怖いという感覚が麻痺していますが、多分普通に怖いと感じる人は多いのではないかと思います。
ふと見るとあり得ない場所にいきなり立っている幽霊の描写(また背後を振り向くといる、といったカット割りもとても素晴らしいです)も怖いですが、特に秀逸なのが、狭いエレベーターや病室などで天井から這い出てきて、そのまま水中を潜っているような浮遊感のある動きで幽霊が空中遊泳する場面の数々です。ゆっくり弧を描いて空中を漂いながら、まるで水中で振り向いたみたいに髪がゆっくりと靡く様子が素晴らしく、怖い以前に「一体どうやって撮ったんだ?」という驚きもありました。
主人公の女性はある理由が重なって、いきなり幽霊を見る体質になってしまい、日常のそこかしこで幽霊を目撃して精神的に追い詰められていきます。その上妊娠も発覚するという、主人公に対して非常に圧の強い加虐的な作風がホラーの雰囲気にぴったりで、最後まで緊張が緩まずに鑑賞できました。良いホラー映画だと思います。