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最新技術でリニューアルされた幽霊屋敷映画
「SAW」などで著名なジェイムズ・ワンが監督した、霊媒夫妻を主役にしたシリーズの2作目です。イギリスのエンフィールドという場所にある、心霊現象の著しい一軒家に調査するという内容のホラー映画です。
本シリーズの特色は昔から数多くある幽霊映画を、最新の技術や、演出上の細かな気配りなどを用いて高クオリティを保っていることにあると思います。CGで描写される幽霊や怪物の描写も見どころですが、それ以上にクオリティが高いのは、幽霊屋敷を捕えたカメラワーク、色彩、照明、音響、編集などの、映画の屋台骨を支える基礎的な要素の数々だと思います。それらの丹念な取り組みが積み重なって、観客も実際に幽霊屋敷を探索しているような臨場感が画面から伝わってきます。
この映画の怖さは、暗がりから一瞬で幽霊が飛びかかってくるショック描写よりも、暗い室内の中から「いつ出るんだろう」という怯えにあると思います。この緊張感がかなりあるので、大きな物音や物体の移動といった動きがショックに感じられるように思います。役者たちも素晴らしく、どの役者も迫真の演技を見せてくれます。そのように怖さを突き詰めながら、いささか臭いくらいの家族愛を合い間合い間に盛り込んで、観客の気持ちを恐怖から感動へ大きく揺さぶる手法もかなり効果的です。
人物への共感が恐怖を呼び、恐怖の克服がさらなる感動を呼ぶといった具合に、怖さだけにフォーカスしない脚本も素晴らしいと思います。怖さだけに特化しない作風は、悪く言えば万人向けで突出していないという印象も受けますが、それ以上にトータル面でクオリティが高い、細心にリニューアルされた幽霊屋敷映画との印象を受けました。良い映画だったと思いました。